吉田こどもクリニック

役立つ情報

予防接種について

予防接種のワクチンは不活化ワクチンと弱毒生ワクチンの2種類があります。
不活化ワクチンを接種すると次のワクチンは1週間後に、弱毒生ワクチンを接種すると次のワクチンは4週間後に接種できます。


 ウイルスまたは細菌の毒素あるいは菌の一部を用いています。このワクチンを受けても その病気にかかることはありませんが、免疫がつくまで何回か接種する必要があります。

◎弱毒生ワクチン:麻疹(はしか)、風疹、麻疹・風疹混合(MR)、水痘、おたふくかぜ、BCG、ロタウイルスワクチン。

 これらはそれぞれのウイルスの毒性を非常に弱くしたもので、軽い病気にかからせると考えてよいでしょう。そのためワクチン接種後1~3週間(通常2週間位)して、それぞれの病気の軽い症状が出ることがありますが、周囲に感染することは通常ありません。1回の接種で有効ですが、水痘やおたふくかぜは接種を受けても罹患することが時々あります(症状は軽くてすみます)。

一般にワクチンの副反応として、以下のことがおこりえます。

◎接種してすぐ~数時間:じんましん、気分が悪いなどのアレルギー反応がおこることがあります。ひどい時には医師の診察を受けて下さい。稀ですが、非常に強いアレルギー反応の場合、じんましんに加えて気道のむくみのため呼吸が苦しくなります。これをアナフィラキシーと呼びますが、このような時は救急車を呼んで下さい。接種後すぐにアレルギー反応が起こることが多いので、接種後5分~10分してからお帰り下さい。帰宅後も1~2時間はよく状態を観察して下さい。

◎接種後3日位まで:一過性の発熱、注射部位のはれや発赤、しこりが注射液の反応として時々見られます。様子を見て構いませんが、発熱が持続する時や、注射部位の痛みやはれがひどい時には診察を受けて下さい。

以上に述べた副反応の他、生ワクチンではそれぞれの病気の症状が1~3週間(通常2週間位)で出ることがありますが、通常軽く、様子を見て構いません。ただし、おたふくかぜワクチンでは、非常に稀ですが髄膜炎が報告されていますので、発熱、頭痛、嘔吐がある時には医師の診察を受けて下さい。。

ワクチンを接種した当日は激しい運動は避けて、副反応が出ないかよく観察して下さい。お風呂は構いませんが、注射部位はこすらず、ばんそこうは30分くらいで剥がして下さい。(それまでにはがれてしまったらそのままでよいです)。

◎初めて予防接種を受けられる赤ちゃんのお母さんへ:
                           ワクチンを受ける順序等


 生後6週から自費となりますが、ロタウイルスワクチン(ロタリックス、ロタテック)を接種すれば、乳幼児期に重症な下痢を起こし死亡することもあるロタウイルス感染を90%以上防げます。
 生後2ヶ月からヒブワクチンと肺炎球菌ワクチン(同時接種可能)を横浜市民は無料で受けられますので、2ヶ月以後なるべく早くお受け下さい。4週おきに3回受けます。その後、追加のヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンを1歳に接種します。ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチン、4種混合ワクチン(生後3か月~)と同時接種を行っています。
  生後3カ月からは横浜市民は無料で、4種混合ワクチンを3~8週おきに3回続けて受けられます。その後追加を3回目の1年後に接種します。ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチンとの同時接種が可能です。 
B型肝炎ワクチンも最近では小児や若者の感染が多くなっていますので、自費(小児は1回6,000円、3回接種)になりますが、是非接種をお勧めします。
 BCGは1歳までに受けてください。上記のワクチンの後または間に接種します。
上記のワクチンスケジュールは複雑ですので不明な点は直接お問い合わせ、ご相談ください。
 ポリオ生ワクチンは中止となり、不活化ワクチンが当院にて7歳半までの横浜市民は無料で受けられます。ポリオ生ワクチンを1回も接種していない方は4回、1回接種している方は3回、ポリオ不活化ワクチンを接種します。他のワクチンとの同時接種も可能です。
  1歳になったら直ぐに麻疹・風疹混合(MR)ワクチンを受けて下さい。この時に、ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンの追加を同時接種します。また1歳健診の予約枠で健診と同時にワクチン接種を行っています。
 その後は3歳になったら日本脳炎ワクチンとなります。また,小学校に入る前の年長さんの1年間の間にMRワクチンをもう1回受けて下さい。
 インフルエンザワクチンは、生後半年から受けられます。毎年10~12月の間に、13歳未満の方は2~4週間あけて2回お受け下さい(自費で3才未満:3000円、3歳以上:4000円)。
 また、1歳以後に、水痘ワクチン(8500円)、おたふく風邪ワクチン(6500円)も接種をお勧めします。
 最近の日本のワクチンは副反応も少なくなり、安心して接種を受けられてよいと思いますが、不安な点や疑問点はなんでもご相談下さい。

◎日本脳炎ワクチン接種の状況

 日本脳炎ワクチンは2005年6月から副反応が疑われるADEM(急性散在性脳脊髄炎:発熱、痙攣、意識障害などの症状が現れる)のたった1例の発症のため厚生労働省の積極的な接種勧奨が中止(接種自体は可能で当院では希望者に接種を行ってきました)されていましたが、新ワクチンが開発され3歳時は解除されました。1期は3歳になったら早めに接種を開始して下さい。
 日本脳炎ワクチンの全て又は一部を接種せずに7歳半を過ぎてしまった方も、20歳までの平成7年4月2日~平成19年4月1日生れの方の接種が可能になりましたので、福祉保健センターにご相談下さい。
 1991年以降、日本で日本脳炎の発生は少数です。これは今までの日本脳炎ワクチンの接種の成果や、生活環境の改善(蚊の減少など)によると考えられます。しかし、日本脳炎になっていないだけで、感染は確実におこっています。4歳で、まだ日本脳炎ワクチンを接種していない子供でも、5人に1人ほどが既にかかってしまっています。(これを不顕性感染といいます)すなわち自然感染はかなり高頻度におこっています。また日本脳炎は日本脳炎ウィルスに感染したブタを刺したコガタアカイエカという蚊が人を刺して感染します。感染ブタが少なければいいのですが、農林水産省の調査ではブタの80%以上が感染している地域もあります。日本脳炎ウィルスに感染した場合、1000~5000人に1人が脳炎になり、治療法は無く、死亡率は15%と高率です。世界ではアジア中心に毎年3~4万人の日本脳炎患者が発生しています。是非子供のうちに、日本脳炎ワクチン接種を済ませておきましょう。

◎ヒブワクチンについて

  ヒブワクチンは、幼い子供が患う細菌性髄膜炎の原因菌であるインフルエンザ菌b型(Haemophilus Influenzae b:HIb,ヒブ)のワクチンです。細菌性髄膜炎は幼い子供たちにとって、生命に関わる、またさまざまな後遺症が残る可能性が高い感染症です。わが国では、細菌性髄膜炎に年間約1000人近くの子どもたちがかかっていると推定されており、そのうち5%近くが死亡、約20%がさまざまな後遺症に苦しんでいます。この髄膜炎の多くがヒブと肺炎球菌によっておこっています。ヒブは1890年に冬に流行するインフルエンザの患者から発見されたことから命名された細菌ですが、その後インフルエンザウイルスが発見されてインフルエンザの真の原因ウイルスと同定された後も、そのままの名前で呼ばれています。
 細菌性髄膜炎の初期症状は発熱や嘔吐等で、感冒やウイルス性胃腸炎との鑑別が難しく、早期診断が非常に困難な感染症です。風邪と診断された患者が翌日けいれんを起こして入院し、細菌性髄膜炎と診断されて死亡したり重い後遺症を患ったりして、医療訴訟に発展することも多い疾病です。また、ヒブは重篤な敗血症、呼吸困難を生じるクループ(急性喉頭蓋炎)、難治性の中耳炎の原因菌でもあります。さらに近年では、これらの菌の抗生物質に対する耐性化が進んでおり、これまで以上に治療が難しくなっている現状があります。
 ヒブワクチンは海外で20年以上前より使われ始め、WHOが定期接種として導入すべきとの声明を出し、現在では100カ国以上の国で使われ、92カ国で定期接種となっています。先進国で使用されていない国はありません。アジアでも使用されていないのは東南アジアのごく一部と北朝鮮だけです。また、小児用の肺炎球菌ワクチンは7年前から米国で定期接種となり、今では75カ国で採用されています。これらのワクチンの普及した国々では、乳幼児の細菌性髄膜炎はすでに過去の病気となっています。アメリカではヒブワクチンが導入後は、ヒブ髄膜炎の頻度が導入前の1%まで減少しています。ヒブワクチンは三種混合を超えるような副反応はなく、すでに全世界で1億5000万本以上の接種実績があります。WHOの見解では、ヒブワクチンは非常に有効で、重い副反応が実質的にないことが明らかになっています。
 私事ですが、私の子供はアメリカで生まれて20年以上前にヒブワクチンを接種しました。その当時ヒブワクチンの存在を知り驚き、またすぐに日本でもこのワクチンが使用できるだろうと想像しましたが、子供が成人した20年以上経ってもヒブワクチンが使用できませんでした。この間、ヒブによる髄膜炎で死亡したり、後遺症に苦しむ子供たちに小児科医として接して、何で日本にはワクチンがないのか?と悔しい、情けない気持ちに幾度なったことでしょう。
 日本では、ヒブワクチンはようやく2007年1月に承認を受け、第一三共からアクトヒブという商品名で2008年12月に販売されました。このように、髄膜炎ワクチンの開発、導入が遅れた理由としては、国内の髄膜炎の実態把握が遅れたことや、過去の他のワクチンでの副反応により、行政が予防接種に慎重になっていることが挙げられます。また、承認の遅れに関しては、他国に比べてあまりにも貧弱な我が国の審査体制が指摘されています。新薬の審査担当者は、米国では2735名いるのに対して、日本では198名であり、このうち、ワクチン等の生物製剤系の担当者は米国800名に対して、日本では19名と極端に少ないのです。
 ヒブワクチンは生後半年までは、三種混合と同じ時期に左右の腕に同時接種を3回行い1歳頃にもう1回追加接種する4回接種であり、7ヶ月~1歳では初回は2回と追加の3回接種、1歳~5歳未満は1回接種のみとなります。実際の細菌性髄膜炎の頻度は1歳までに集中し、多くは3歳未満であり、ヒブに対する抗体は、3歳以上は急速に上昇するため、5歳以上でのワクチン接種は必要ないとされています。 
 2013年4月1日よりヒブワクチンは念願の国の定期接種となりました。もちろん無料で受けられますので、生後2カ月になったらなるべく早く接種を受けてください。


◎小児の肺炎球菌ワクチン(プレベナー)について

 世界各国では10年以上前から接種されている小児の肺炎球菌ワクチンが平成22年3月から日本でも接種可能となりました。ヒブワクチンと同様に小児の髄膜炎・敗血症や肺炎、中耳炎を起こす肺炎球菌感染症に非常に有効なワクチンです。
詳細はhttp://www.prevenar.jp/をご覧下さい。
 2013年4月1日より念願の国の定期接種となりました。もちろん無料で受けられますので、生後2カ月になったらなるべく早くヒブワクチンとの同時接種を受けてください。


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