夏(初夏~初秋)に流行する特徴のあるウイルス感染症を夏かぜと呼んでいます。
その原因ウイルスは多くはエンテロウイルス系に属するものです。
エンテロとは消化管を意味しますが、のどから入ったウイルスが消化管で増殖するため
このようによばれています。
エンテロウイルス系にはコクサッキー、エコー、エンテロウイルス等がありますが、
これらによる夏かぜの代表的な手足口病とヘルパンギ-ナを説明します。
手足口病
手足口病は、エンテロウイルス71型、コクサッキーウイルスA16型等のウイルスによって
引き起こされるウイルス感染症で、幼児を中心に流行がみられます。
3~5日間の潜伏期後に、症状は、その名が示す通り、手のひら、足のうらと口内に小水疱(すいほう)ができます。
口内の水泡は破れて浅い潰瘍になり痛みを伴います。
また、手足やお尻に小さい赤い発疹(ぽつぽつ)が出ることもありますが、
かゆみを伴うことはまれです。発熱は軽度であり、38度以下のことがほとんどです。
通常は、3~7日の経過で治癒します。
このように基本的には、予後は良好な疾患ですが、まれに無菌性髄膜炎や脳炎、
心筋炎などの合併症を起こす場合があり、重症の場合には死亡例もあります。
元気がない、頭痛、嘔吐(おうと)、高熱などの症状がみられたときは、
このような合併症の可能性もありますので、早めに受診しましょう。
また、口内痛のために食事が十分に取れず、水分不足になることがありますので、
このような時は、刺激が少なく口あたりの軟らかい食べ物や飲み物を取り、
脱水を起こさないよう気をつけましょう。
治療は、鎮痛解熱剤の投与や、かゆみがある時にはかゆみ止めを投与します。
人から人への感染は、口の中の病変からの飛沫、便からの経口感染、水疱の内容物との接触によるものがあります。
便中へのウイルスの排泄は症状が消失したあとも2~4週間にわたり続くことがありますので、
排便後、おむつ交換後、水疱との接触後、また、食事や調理前には、十分手洗いをしましょう。
ヘルパンギ-ナ
ヘルパンギ-ナはコクサッキーA郡ウイルスやエコーB郡ウイルスによるウイルス感染症で乳幼児に流行がみられます。
2~4日間の潜伏期後に、突然の発熱が2~3日持続し、乳児では口内痛のために、摂食不良や不機嫌となり、
年長児ではのどの痛みを訴えます。軟口蓋(のどちんこの周囲)に水泡や、
それが破れて小さな潰瘍がありその周囲が発赤しています。
この口内の発疹は舌や口腔粘膜全体にみられることもあります。
また、嘔吐や腹痛が一時的に出現することもあります。
以上の症状は、通常4~5日間でおさまります。
手足口病と同様に、口内痛のために食事が十分に取れず、水分不足になることがありますので、
刺激が少なく口あたりの軟らかい食べ物や飲み物を取り、脱水を起こさないよう気をつけましょう。
食べられない時はゼリーや水分のみでも少しずつ与えましょう。
治療は、鎮痛解熱剤の投与を行います。ヘルパンギーナには特別な合併症は通常みられず、予後良好な疾患です。
人から人への感染は、口の中の病変からの飛沫、便からの経口感染によりますが、
感染期間は手足口病とは異なり、発病後数日で感染力がなくなります。
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